「食育を東洋医学で考える」コラム

鈴鹿医療科学大学 副学長 高木久代

遥か2000年以上前から伝えられ東洋医学のバイブルと言われる古典「黄帝内経(こうていだいけい)」には、「命は食にあり、食誤れば病たり、食正しければ病自ずと癒える」とあります。英語の諺には、 “You are what you eat.” (ひとは食べ物そのものである)があり、「食べ物と健康の関係」は、古今東西で同じです。又東洋医学には「心身(しんしん)一如(いちにょ)」という言葉あり「心と体は結びついており、心の不調は身体に、身体の不調は心に影響を及ぼす」を意味します。現代では、身近でいつでも食べ物を手に入れることが出来ます。簡単にレンジで加熱するだけで自分の好みの物を食べる若者が増えているようです。しかしこの便利さを求める食事で、様々な問題が発生している現状を鑑み、食や食文化を通して健全な心と身体を作る「食育」の必要性が求められています。

「食育」は子供だけではなく、大人にとっても必要です。
昨今、食に関心を持つ人が多いためか「薬膳」に関心が持たれています。薬膳は昔から中国で行われている「食養生」のことです。薬膳の基本的な考えをご紹介しましょう。

『三因制宜(さんいんせいぎ)』
因時制宜(いんじせいぎ):時に合った食材を使う(旬の食材を使用する)
因地制宜(いんちせいぎ):その土地に合ったものを使用する(地産地消)
因人制宜(いんじんせいぎ):食する人に合ったものを食べる。

この三つの教えは今も通じます。「人の体はその人が暮らしている地域で取れた食材を旬の時に取り入れることでその時期に必要な栄養素を取得できる」、体質、年齢、性別、体調に合ったものを食べる理由は「体調が悪い時に薬を飲むのではなく、体調に合わせ胃に優しい食事をして体力を回復させる」。昔から受けつがれている知恵ですね。

「食育」には「共食」「和食」「味付け」が重要です。
「共食」は家族と共に食事をすることにより、「食事の作用、季節の移ろい、常識等」を食事をしながら自然に教えます。「孤食」または一人一人が好きなものを食する「個食」では共に味、食材についての知識を共有することが出来ません。
「和食」を家族で一緒にいただくことをお勧めします。和食の「一汁三菜」は栄養バランスを考えた膳になります。天婦羅に大根おろし(大根で消化を良くする)、お刺身にシソ、ワサビ(解毒作用があり、体を温める)、おそばに薬味のネギ、七味唐辛子(体を冷やすおそばに体を温めもの)と「薬味」の中に「薬膳」の考えが入っています。
「味付け」として「子供の味覚を育てる」ことも「食育」の大切な一環です。和食は鰹、昆布、シイタケを使ったダシで料理します。和食のダシにはうまみ成分が含まれ、ダシで調理した料理は食材の素材を生かした味であるため、食べ物の味を十分感じられるようになります。濃い味の食事ばかりでは美味しさを理解できない大人になってしまいます。但し和食は洋食に比べると、塩分が多くなりますので、減塩に気をつけてください。

「食育を東洋医学で考える」のポイント
・昔から伝わる薬膳の「三因制宜」の考えにより食材を選びましょう。
・家族での「共食」をしましょう。
・日本人に合う「和食」を基本とした食事にしましょう。
・和食で使うダシの「うま味」を東洋医学における五味「酸味、苦み、甘味、辛味、塩味」 に加えてバランスの良い食事(膳)にしましょう。
・塩分は控えめに。

この「五つの食育のポイント」を意識していただき、毎日の食事で健全な心と身体を養ってください。

すずっこ食堂ネットワーク冊子を刊行に際し、高木副学長にコラム掲載ご協力いただきました。

ありがとうございました<(_ _)>

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